純粋自律神経不全症

純粋自律神経不全症|立つと血圧が下がる・ふらつく原因と自律神経の異常
この記事でわかること
「立ち上がると強くふらつく」「立っていると目の前が暗くなる」「血圧が大きく下がって倒れそうになる」といった症状はありませんか。
こうした症状を引き起こす病気の一つに「純粋自律神経不全症(Pure autonomic failure:PAF)」があります。
純粋自律神経不全症は、自律神経の働きが徐々に障害される神経変性疾患です。特に、立ったときに血圧を維持する仕組みがうまく働かなくなる「神経原性起立性低血圧」が代表的な症状です。
しかし、症状は血圧だけではありません。排尿障害、便秘、発汗の異常など、自律神経が調節しているさまざまな身体機能に症状が現れることがあります。
一般的に使われる「自律神経の乱れ」とは異なり、純粋自律神経不全症は自律神経系の神経変性を背景とする病気です。
そのため、ストレスを減らしたり生活習慣を整えたりするだけで治る病気として扱うことはできません。神経内科などで適切な診断と継続的な経過観察を受けることが重要です。
この記事では、純粋自律神経不全症とはどのような病気なのか、起立性低血圧が起こる仕組み、代表的な症状、受診の目安、日常生活で注意したいことについて解説します。
危険レベルと受診の目安
危険レベル:●●●●〇
純粋自律神経不全症は、単なる一時的な体調不良ではなく、自律神経系が徐々に障害される神経変性疾患です。
起立時の血圧低下によって転倒や失神を起こす危険があるほか、排尿など日常生活に関わる機能にも影響する場合があります。
また、起立性低血圧には脱水、薬剤、心臓疾患、内分泌疾患、ほかの神経疾患などさまざまな原因があります。立ちくらみがあるだけで純粋自律神経不全症と判断することはできません。
目安:失神による外傷や、心臓など別の緊急性の高い病気が関係している可能性があります。
行動:●●●●●:救急要請を含め、速やかに医療機関を受診してください。
目安:神経原性起立性低血圧を含め、自律神経機能に影響する病気がないか詳しく調べる必要があります。
行動:●●●●〇:脳神経内科などの医療機関へ相談しましょう。
目安:脱水や一時的な血圧変化などでも立ちくらみは起こります。
行動:●●〇〇〇:繰り返す場合や悪化する場合には医療機関へ相談してください。
症状チェック
- 立ち上がると強いふらつきを感じる。
- 立っていると目の前が暗くなることがある。
- 立位を続けると気分が悪くなる。
- 失神したことがある。
- 食後に血圧が下がり、だるさやふらつきを感じる。
- 暑い場所で症状が悪化しやすい。
- 便秘が続いている。
- 尿が出にくい、残尿感があるなど排尿の変化を感じる。
- 以前と比べて汗のかき方が変わった。
- 複数の自律神経症状が長期間続いている。
純粋自律神経不全症では、特に起立性低血圧が重要な症状です。
一方で、起立性低血圧は純粋自律神経不全症だけに起こる症状ではありません。
「立つとふらつく」という症状だけで自己判断せず、症状が繰り返される場合には原因を調べてもらうことが大切です。
純粋自律神経不全症が起こる原因
自律神経は、血圧、心拍、発汗、消化、排尿など、自分の意思では直接コントロールできない身体機能の調節に関わっています。
純粋自律神経不全症では、この自律神経系の働きが神経変性によって徐々に障害されます。
原因1:自律神経系の神経変性
純粋自律神経不全症は、自律神経系を中心とした神経変性疾患です。
特に末梢の交感神経系の障害が重要とされ、血圧を維持するために必要な神経伝達が十分に働かなくなります。
病理学的には、αシヌクレインというタンパク質に関連した異常が認められる疾患群の一つと考えられています。
そのため、「疲れて自律神経が乱れている」といった一般的な状態とは区別して考える必要があります。
原因2:立ったときに血圧を保てなくなる
横になった状態から立ち上がると、重力によって血液が脚や腹部へ移動します。
健康な身体では、この変化を感知すると自律神経が血管を収縮させるなどして血圧を維持し、脳へ必要な血液を送り続けます。
純粋自律神経不全症では、この調節が十分に働かないため、立ったときに血圧が大きく低下することがあります。
これが「神経原性起立性低血圧」です。
脳への血流が一時的に不足すると、ふらつき、目の前が暗くなる、脱力感、失神などが起こります。
原因3:血圧以外にも症状が現れる
自律神経が調節しているのは血圧だけではありません。
消化管、膀胱、発汗などにも関係しているため、純粋自律神経不全症では便秘、排尿障害、発汗異常などが現れることがあります。
人によって症状の種類や程度は異なります。
原因4:横になると血圧が高くなることもある
神経原性起立性低血圧がある方の中には、横になった状態では反対に血圧が高くなる「仰臥位高血圧」を伴う場合があります。
そのため、「立ったときに血圧が低いから、とにかく血圧を上げればよい」という単純な問題ではありません。
治療や生活上の対策については、立位と仰向けの両方の血圧などを考慮しながら医師と相談する必要があります。
原因5:パーキンソン病や多系統萎縮症との関係
純粋自律神経不全症は、診断時には自律神経症状が中心で、パーキンソン病でみられるような明らかな運動症状などを伴わないことが特徴です。
ただし、長期間の経過の中で、一部の方にパーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症など別の神経変性疾患の特徴が現れることがあります。
そのため、診断後も脳神経内科などで継続的に経過を確認することが重要です。
一般的な「自律神経の乱れ」とは違う
日常生活では、疲労や睡眠不足、ストレスなどによるさまざまな体調不良を「自律神経の乱れ」と表現することがあります。
しかし、純粋自律神経不全症はそれとは性質が異なります。
神経変性によって自律神経機能そのものが障害される病気であり、休養やストレス対策だけで改善するものとして扱うことはできません。
この違いを理解し、適切な医学的管理を受けることが大切です。
自宅でできる生活ケア
純粋自律神経不全症の生活対策は、症状や血圧、持病、使用している薬などによって異なります。以下は一般的な注意点であり、実際の方法は主治医の指示を優先してください。
- 急に立ち上がらず、ゆっくり姿勢を変える。
- 立ちくらみやふらつきを感じたら無理に歩き続けない。
- 転倒しそうな場合には安全な場所で座る、または横になる。
- 暑い環境や長時間の立位で症状が悪化しないか注意する。
- 脱水を避けるため、水分摂取について主治医と相談する。
- 食後に症状が悪化する場合は、その時間帯の血圧や体調を記録する。
- 自宅で血圧を測る場合は、医師から指示された方法で記録する。
- 転倒しやすい場合は、室内環境を整えてけがを予防する。
- 処方されている薬を自己判断で中止・増減しない。
起立性低血圧の対策として、水分や塩分の調整、弾性ストッキング・腹部圧迫などが用いられることもあります。
ただし、仰臥位高血圧や心臓・腎臓などの状態によって適切な方法は異なるため、自己判断で大量の塩分や水分を摂取するのではなく、必ず主治医と相談してください。
また、症状が起こった時間、姿勢、食事との関係、血圧などを記録しておくと、治療方針を考える際の参考になります。
うえむら整体院でできること
純粋自律神経不全症は神経変性疾患であり、脳神経内科などによる医学的な診断・治療と継続的な経過観察が必要です。
うえむら整体院で純粋自律神経不全症そのものを治療したり、障害された自律神経を元に戻したりすることはできません。
そのため、純粋自律神経不全症が疑われる場合には、整体よりも医療機関での評価を優先します。
すでに医療機関で診断を受け、主治医による管理が行われている方については、医療の代わりではなく、身体面から生活を支えることを目的として対応します。
例えば、身体の過度な緊張、姿勢、呼吸、睡眠、疲労などを確認し、その方の体調や安全性に配慮しながら身体への負担を少なくする方法を考えます。
特に起立性低血圧がある場合には、急激な体位変換や転倒に十分注意する必要があります。
純粋自律神経不全症では、一般的な「自律神経を整える」という考え方だけで対応するのではなく、病気の特徴を理解し、主治医による医学的管理を基本とすることが重要です。
まとめ
純粋自律神経不全症(Pure autonomic failure:PAF)は、自律神経系が徐々に障害される神経変性疾患です。
代表的な症状は神経原性起立性低血圧で、立ったときに血圧を十分に維持できなくなり、立ちくらみ、ふらつき、目の前が暗くなる、失神などが起こることがあります。
また、便秘、排尿障害、発汗異常など、血圧以外の自律神経症状を伴う場合もあります。
一般的に使われる「自律神経の乱れ」とは異なり、神経変性を背景とする病気であることを理解しておくことが重要です。
さらに、一部の方では長期経過の中でほかの神経変性疾患の特徴が明らかになることがあるため、診断後も継続的な経過観察が必要です。
立ったときの強い血圧低下や失神を繰り返している場合、排尿障害や発汗異常など複数の症状がみられる場合には、自己判断で「自律神経の乱れ」と考えず、脳神経内科などの医療機関へ相談しましょう。
