慢性肩こりの原因と改善方法
吹田市片山町の整体院、うえむら整体院の上村です。
あなたは肩こりを改善させるためのストレッチ器具やマッサージ機を試したことがありますか?
最近ではそういった「肩こりグッツ」が、昔のものと比べて非常に進化しており、使った直後に肩の可動域が改善するなんてこともよくあります。もしかしたらあなたもこれまでに、そういったものを使ったことがあるかもしれません。
ではなぜ、私たちが抱えている肩こりの多くは、ストレッチやマッサージでは根本改善に至らないのでしょうか?
症状が出てはマッサージやストレッチ、最新の器具を使ったのにも関わらず、時間が経てばすぐにあなたの肩には重りのようなズシッとした感触、その正体は何なのでしょうか?
今日はそんな「慢性肩こり」原因と改善方法を徹底的に解説していきます。
目次
- ○ 慢性肩こりとは
- ・肩こりの原因
- ・肩こりの症状
- ・注意すべき肩こりとは?
- ○ 改善方法
- ・【運動療法】肩すくめ運動
- ・【ストレッチ】僧帽筋上部繊維のストレッチ
- ・【セルフケア】腹圧呼吸
- ○ まとめ
慢性肩こりとは
肩こりの症状については言うまでもないかもしれませんが、あなたはその肩こり症状の原因について、深く考えたことがあるでしょうか?
ここでは、今までほとんどの方が原因不明のまま、深く考える事もなく見過ごしていた肩こりの原因について、お話していきます。
そしてその症状についても深く知ることで、肩こりの重症化を防ぎましょう。
肩こりの原因
肩こりの原因は様々ですが、主に4つのパターンがあります。
- 1.不良姿勢の継続による構造的肩こり
- 2.内蔵の疲労、自律神経の乱れによる機能的肩こり
- 3.感情ストレス、脳疲労に伴う精神的肩こり
- 4.何らかの疾患が原因となっている肩こり
上から4番目の「何らかの疾患が原因となっている肩こり」に関しては後で詳しく解説するので、ここでは割愛します。
実は上の3つはそれぞれ関係しあっています。なので、この3つを順番にお話ししながら、肩こりの原因に近づきましょう。
構造的肩こり
肩こりでお困りの方のほとんどが、自分の肩こりの原因は不良姿勢や同一姿勢の保持に伴う肩こりだと思っているのではないでしょうか?
その結果、マッサージ機やストレッチ器具を使って、ほぐしたり、姿勢を矯正しているのだと思います。
そういう意味では、一般的なマッサージ師さんや整体師さんも、この構造的肩こりこそが問題だと考えて、ありとあらゆるストレッチ方法やマッサージを提供していると思います。
でもお察しの通り、あなたの肩こりはいくらマッサージしても、ストレッチしても改善しません。
もちろん、仕事や生活動作などで、不良姿勢の継続や同一姿勢の保持をしてしまうと、構造的肩こりが発生するのも事実です。
しかしこの場合は、少しの運動でも劇的に肩こりが解消されるので、あなたが今お悩みの「なかなか改善しない慢性肩こり」とは少し違うのかもしれません。
機能的肩こり
内臓の疲労や自律神経の乱れによって引き起こされるのが、機能的肩こりです。
内臓の疲労と肩こりが、あまりリンクしないように感じるかもしれませんのでここで説明します。
内臓は迷走神経と呼ばれる、副交感神経が主体となる神経により働かされます。
※迷走神経は12対ある脳神経の一つであり、第10脳神経とも呼ばれます。
迷走神経は頸部と胸部内臓、さらには腹部内臓にまで分布する、脳神経の中でも最大の分布領域を持ちます。
この事から
内臓の働き=迷走神経=副交感神経(自律神経)
ということがわかります。
内臓の疲労により、血管運動や血流に関わる自律神経を過度に興奮させてしまいます。その結果、筋肉では血流不足が引き起こされて、肩こりが発症しやすくなります。
さらに、内臓の疲労が起こると、不良姿勢(猫背のような姿勢)にもなりますよね。
お腹いっぱい食べた後は背筋を伸ばす事が難しいはずです。
これは、内臓が疲労し下垂することによって、内臓が入っている腹膜を介して背骨を下に引っ張るからです。
でも、内臓が疲労する時って、食べ過ぎた時だけではないですよね?内臓が疲労する時=自律神経が乱れる時と考えれば、もっとたくさん原因が考えられます。
なので一番重要なのは3つ目の「感情ストレス、脳疲労に伴う精神的肩こり」になるのです。
感情ストレスや脳疲労が原因となる精神的苦痛による肩こり
ストレスで肩こりが起こるというのは、長年の肩こりで悩むあなたなら何となく腑に落ちるのではないでしょうか?そしてそんなあなたは、
- ・ストレスでお腹を下すor便秘
- ・考えすぎて胃が痛い
- ・落ち込んで食欲がない
上に3つのような経験がありませんか?
これらはどれも精神面が内臓機能を低下させている状態です。そして内臓機能低下は自律神経の機能低下を引き起こし、結果的に慢性的な肩こりを招きます。
また先ほど内臓機能低下によって脳神経の中の第10脳神経「迷走神経」(つまり自律神経)の乱れが引き起こされ、肩こりを感じさせると解説しましたが、脳疲労が原因で第10脳神経の乱れを引き起こすこともよくあります。
なんだかここにきて少しややこしくなってきましたね。笑
つまり
内臓機能低下→迷走神経(自律神経)の乱れ→肩こり
または
脳神経疲労→迷走神経(自律神経)の乱れ→肩こり
って事です。内臓からも、脳からも自律神経が乱され、血流障害が引き起こされる事で肩こりを発症するという事です。
また第10脳神経の迷走神経の他に、第11脳神経「副神経」は首や肩を動かす筋肉「僧帽筋上部繊維」や「胸鎖乳突筋」の一部に分布している運動性の神経で、脳疲労によってこれらの筋肉もまた肩こりを引き起こします。
僧帽筋上部繊維は肩こりを感じる時に最も緊張する筋肉の一つです。
また胸鎖乳突筋は首を支える筋肉で、機能低下によって首を支えることができなくなります。
その結果、頭部が前に垂れるような猫背姿勢になり、頸部〜肩甲骨のあたりの肩こりを感じやすくなります。
もっと言うと、目を動かす、見る、耳で聞く(聴覚)味覚なども脳神経です。
考えすぎや悩み、感情ストレス、葛藤など、あらゆる原因によって脳疲労がおこると様々な問題が出てくる、その代表的なものが肩こりなのです。
以上、肩こりの原因には、ここまでの3つの原因が特に多くみられます。
そして、これら3つは関係し合っていて、
精神的苦痛、ストレス
↓
内臓機能低下(自律神経の乱れ)
↓
構造面の変形、硬さ(不良姿勢、筋肉の硬さ)
と、感情→内臓→筋肉のように影響しています。
最も上位にいるのがストレスとなります。ストレスの原因(ストレッサー)が無くなる事を「肩の荷が降りる」と表現しますが、まさにストレスが肩こりを引き起こしているということを象徴しています。
ストレスを誤魔化したり、解消する方法はいろいろあっても、ストレッサーが無くなるわけではありません。
なので、ストレスや脳疲労(悩み、葛藤)が最上位に位置している肩こりは、なかなか治らないのです。
肩こりの症状
肩こりの代表的な症状は以下のものとなります。
- ・肩に重りが乗っているように感じる
- ・肩が固くて腕が上がらない
- ・肩の力がずっと抜けない
- ・頭が重たく感じる
- ・頭痛やめまい、ひどいと吐き気がする
- ・目の疲れ
- ・倦怠感
この他にもいろいろあるかもしれません。
これらの原因が上述した「構造的肩こり」であれば、身体を動かして血流が良くなればその時は改善します。
機能的肩こりや精神的苦痛による肩こりであっても、結果的に筋肉が固くなって引きこされている肩こりなので、運動によって一時的には改善します。
しかし、中には運動をしても全然改善しない肩こりが存在します。それが上でお話した4つ目の原因「何らかの疾患が原因となっている肩こり」です。
ここからはそんな何らかの疾患が原因となっている、注意すべき肩こりについて解説します。
注意すべき肩こりとは?
あなたの肩こりが次のような状態であれば、一度病院受診を考えましょう。
- ・動かすと、こり・痛みが強くなる
- ・夜間や安静時にも痛む
- ・手足がしびれることがある
- ・肩こりがどんどん悪化する
- ・微熱が続く
- ・がんになったことがある
そして、代表的な危険な肩こりは以下のものとなります。
- ・乳がんの転移による脊椎(主に頚椎)の腫瘍
- ・肺がん
- ・頚椎ヘルニア
- ・後縦靱帯骨化症
- ・黄色靭帯骨化症
- ・化膿性脊椎炎
ポイントは「安静時にも痛みがあり、動かした時さらに痛みが増強する」というところです。
初動時に少し痛みが出るくらいなら問題ありませんが、動かしている間ずっと痛いというのは、何か問題がある証拠です。
そしてその逆に、夜間などの安静時に自発的な痛みがあれば、それも注意が必要です。
安静時には筋肉を動かしているわけではないので、筋肉に痛みが出るのも不自然と言えます。
改善方法
肩こりには精神面や機能面、構造面、何らかの疾患が関係しているものなど、様々な原因が考えられますが、何らかの疾患が関係しているものを除けば症状は基本的に同じです。
それは上述した通り、機能面や精神面が原因であっても結果的に構造的に硬くなるのが肩こりだからです。
となると、今すぐ症状を緩和するには、構造的なアプローチ(姿勢改善、動作改善、運動療法、ストレッチなど)ということになります。
そして根本改善を目指すなら、機能面や精神面へのアプローチも重要です。
ここでは表面的な症状の早期改善とその原因に対しての改善方法を解説します。
【運動療法】肩すくめ運動
肩こりの好発部位は、上述した通り「僧帽筋上部繊維」です。
ここでは、その僧帽筋上部繊維に対する運動療法である、「肩すくめ運動」を解説いたします。
肩すくめ運動のやり方
- 1.両腕を下に垂らして力を抜き座る
- 2.両肩をすくめるように上へ限界まで持ち上げる(10秒)
- 3.すくめた状態から一気に力を抜き、肩を下ろす
- 2.3を5回繰り返す。
2のように限界まで肩を持ち上げると、力んでしまって肩がこるのでは?と考えてしまいそうですが、実はそんなことはありません。
筋肉は最大収縮後に最大弛緩するという特性があります。なので、できるだけ肩をすくめて僧帽筋上部繊維を収縮させて、その後ストンと肩を落として力を抜いた時が、肩が最も脱力している状態と言えます。
この特性を利用して、「肩の力を抜く感覚」を体感した上で、ストレッチやセルフケアを試してみるといいかもしれません。
【ストレッチ】僧帽筋上部繊維のストレッチ
肩こりの時に必ず機能低下を引き起こしている筋肉が「僧帽筋上部繊維」です。
先ほどもお話しした通り、脳神経に支配されており、脳疲労による筋機能の低下で固くなっています。
ストレッチの方法は次の通りです。
右側の僧帽筋上部繊維を伸ばす方法
- 1. 頭を前に垂らすように首を前に曲げる
- 2. 1の姿勢のまま伸ばしたい方向(右)に顔を向ける
- 3.左手で右側頭部(耳の上らへん)を把持し、頭を左に傾ける
- 4.右手を背中に回すとより伸びやすくなります。
この姿勢で15秒ほどじっくり伸ばしてください。手の痺れや首の痛みを感じたら中止してください。
先ほどの「肩すくめ運動」と「僧帽筋上部繊維のストレッチ」を順番に行うことで、よりしっかりと僧帽筋上部繊維を伸ばし、肩こりを解消できます。
もちろんこれらは対症療法です。これで肩こりが完治するわけではありません。肩こりがしんどくて大変な時に行ってください。
【セルフケア】腹圧呼吸
あえて運動療法・ストレッチとセルフケアを分けているのは、
- ・運動療法・ストレッチ=「対症療法」
- ・セルフケア=予防治療
という位置付けになるからです。
つまりセルフケアを続けながら肩こりを予防し、運動療法・ストレッチで肩こりを解消しましょう!ということです。
ここでは、セルフケアにおいて重要な
- 1.呼吸
- 2.血流
- 3.ストレス
について解説します。
腹圧呼吸の方法
腹圧呼吸は腹式呼吸と間違えられやすいのですが、その方法は少し違います。
腹式呼吸は息を吸いながらお腹を膨らませて、息を吐きながらお腹を凹ませますよね?
腹圧呼吸はその名の通り、お腹にかかる圧をずっと高めたまま呼吸する方法です。
具体的には次のような方法になります。
腹圧呼吸のやり方
- 1. 息を吸いながらお腹を膨らませる
- 2. 息を吐くときにお腹が凹まないように膨らませたままにする
- 3. 1と2を繰り返す
とてもシンプルですね。でも息を吐いている時もお腹を膨らませるのは結構難しいと思います。
これができない人の特徴は
- ・胸式呼吸になっている
- ・横隔膜が動いていない
- ・呼吸が浅い
これは実は、肩こりになる人の典型的な状態です。しかも実はこれは、肩こりの原因のところでお話しした、
- ・胸式呼吸になっている=構造的肩こり
- ・横隔膜が動いていない=機能的肩こり
- ・呼吸が浅い=精神的肩こり
とも関係してくるので、いかに呼吸が肩こりと関係しているかがわかります。
自分の呼吸が浅くなっているかどうなのかわからない人は以下のポイントをチェックしましょう。
●呼吸が浅い人の特徴
- 1.左右の肋骨下縁がみぞおちで繋がる所の角度が90度以上ある
- 2.左右の肋骨下縁が身体の表面から触れるくらい浮き出ている
これらの状況では、胸式呼吸となり呼吸が浅くなっていることが考えられます。一度確認し見てみて下さいね。
まとめ
今日のお話しをまとめると、肩こりには3つの段階(種類)があるのがわかります。
- 1.構造的肩こり(筋肉の硬さ、不良姿勢が原因)
- 2.機能的肩こり(内臓や自律神経の不調が原因で構造的肩こりが起きる)
- 3.精神的肩こり(感情ストレスや脳疲労が原因で機能的肩こりを引き起こす)
2や3も最終的に筋肉に症状が出るので表面的には1の構造的肩こりしかないように感じます。だから肩こりにはマッサージが良いように感じてしまうのですよね。
しかし原因を深掘りすると、原因が筋肉以外にある事も少なくありません。
そして忘れちゃいけないのが、なんらかの疾患が絡んでいる、注意すべき肩こりです。
今日のお話を参考に、ご自身でも早期発見できるようにしましょう。
そしてそれらのセルフケアとして対症療法と根治療法として全部で3つお話しました。まずはそちらからトライしましょう。
●感情ストレス、脳疲労による精神的肩こりについて補足
最後になりましたが、精神的肩こりに関して少しお話しします。
精神的肩こりにおいての「根治」は、あなたの内側の変化からにしか見込めません。
今回は、あなたの内側をコントロールする手助けとして、腹圧呼吸を使った方法を紹介しましたが、それだけでは不十分かもしれません。
あなたの心身を共に乱している感情は、あなたの内側にあるものであり、もしかしたらその課題にあなた自身も気付いているかもしれません。
今日のお話で心身を乱す感情に気付いたという人は、これからはその事を自覚した上で、捉え方を変える生き方をしてみませんか?
- 嫌いだ→好みではない、よく知らない
- 不安だ→ワクワクする、いい緊張感だ
- 悲しい→とても大切に思っていた
- 怒っている→守りたいものがある
- 罪悪感→相手の気持ちを理解している
心身を乱す感情ストレスは、他にもいろいろありますよね。もしかしたらこういった捉え方の違いだけで、あなたが抱えているストレスは、ふっと消える瞬間があるかもしれません。
あなた自らが、無意識で抱えてきたストレスが消えて、肩の荷が降りればいいですね。